光明寺について

牛馬祈祷と生類供養塔

旧光明寺御本尊大日如来座像

清末藩の記録等によると、往古から生きとし生けるもの全ての守護佛として篤く信仰されてきた大日堂の「大日如来」であったが、やがて我々人間のみならず牛馬等の動物たちに対しても格別の加護を授ける佛として、北部九州や中国地方全域にまで広く信仰を集めることになる。それは江戸中期のことであった。 各地で牛馬の疫病が大流行したが、当大日堂で祈祷を受けた牛馬はことごとく疫病から守られたのだという。大日堂へ登る急な石段には「牛馬祈祷」の文字が今も残っているが、当時、農耕や商業を生業とする者たちにとって牛馬の健康と安泰そして供養がどれほど重要であったかを考えると、絶大な信仰を集めていたというのもうなずけるのである。

さて、戦後もしばらくは牛馬を連れて祈祷や供養を行う人があったと聞いているが、今日その対象は明らかに牛馬ではなくなった。我々にとって今大切な生類(動物)とは、それはずばり我が家の愛するポチやタマであろう。言葉は交わせなくとも安らぎを与えてくれる存在であり、時に励ましとなってくれる彼ら。動物であって動物以上の隣人、いわば家族の一員である。周囲が何と言おうと自分にとっては何者にも代え難い大切な存在である。そしていつか訪れる彼らとの別れ。他人には理解できぬ喪失感。当人にとっては親兄弟との別れとなんら変わりはなく、そこには救いが求められているのである。

生類供養塔.jpg

そんな彼らにも大日如来の慈悲の光が遍く注がれてしかるべきであろう。そのひとつの答えが大日堂広場の生類供養塔である。施主の深い思いと共に、彼らはこの供養塔の石棺で安らかに眠っている。

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