光明寺について

大般若経と転読修行

大般若経の一部.jpg

大般若経は一箱に五十巻の般若経典が収めてある。全部で十二箱あり都合六百巻の膨大な量である。このお経をインドから持ち帰り漢文に翻訳したのが、唐代の僧であった玄奘である。法相宗・俱舎宗の開祖で河南の人という。629年長安を出発し天山南路からインドに入り、ナーランダー寺の戒賢らに学び645年帰国後「大般若経」「俱舎論」「成唯識論」など多数の仏典を翻訳している。孫悟空の物語「西遊記」でよく知られている「三蔵法師」とはこの人である。

大般若転読修行

毎年四月二十九日の大日祭では、大般若経六百巻の転読修行が行われる。転読とは経典の一部を読み上げながらパラパラめくることで、いわば経典の功徳を風に乗せて取り出すのである。(一説には経典の虫干しも兼ねているといわれる)当日は多数の僧侶により次々と転読されるのだが、六百巻となるとさすがに時間がかかる。昔は大変ていねいに行われていたようで一日がかりであったという。

大般若転読修行

大日祭の勤行が開始されると、まず導師による洒水(お浄めの儀式)が行われ、次に「疏」が読み上げられる。疏では大日如来の縁起と如来に対する報恩感謝の言葉が恭しく述べられる。ひとしきり読経が行われると、いよいよ大般若転読が始まる。参詣の老若男女は転読が始まると次々と大日如来の宝前へ進み焼香を行う。その際に導師は参詣者の頭上でぶ厚い経典をパラパラとめくり経典の功徳を降り注ぐのである。

新本堂での大般若転読修行

導師が参詣者の頭上で転読する経典は大般若経第五百七十八巻「理趣分」といい、六百巻の中でも最も大切とされる経典である。焼香を行い合掌して頭を下げると、この経典で導師が背中をポンポンと叩いてくれる。参詣者はこの儀式を受けることで一年の無病息災を授かる。これが大般若転読修行の功徳を頂戴する刹那であり醍醐味である。

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