こだわり住職のよもやま話

2010年9月

ずいぶん広く感じるものです

2010年09月28日

大日堂の撤去1.jpg

7月15日の豪雨で被災した大日堂の撤去作業が遂に完了しました。複数の業者さんに見積もりを依頼しましたが、提示された金額はいずれも相当な額でした。実施するとなると、この支払いが発生するのですから山寺にとっては大きな決断が必要でした。それで私の心はずっとブルーでしたが、檀家の木地建設さんが破格の見積もりを提示して下さったので、無事処置することが出来ました。たぶん相当な赤字でしょう。ありがとうございました。

大日堂の撤去2.jpg

大日堂があった場所はご覧の通り完全に更地となりました。建物が無くなるとずいぶん広く感じるものです。生類供養塔はあの日からずっと一部が土砂に埋もれたままの状態でしたが、ようやく元の姿に戻りました。

撤去後の大日堂広場.jpg

大日堂の仏像と仏具は、まるごと光明寺の本堂に移設しました。今後大日祭はこちらで行うことになります。

本堂へ移転した大日如来.jpg

鬼瓦と向拝に取り付けられていた立派な彫刻は保存してあります。大日堂の再建がいつになるか解りませんが、この広場に建っていたことを思い出させる貴重な品です。

大日堂の彫刻.jpg

軽い気持ちなんでしょうが

2010年09月24日

厚保栗.jpg

山寺の周辺は今やブランド栗となった「あつ栗」の産地なので、秋になると毎年「栗ドロボウ」の被害に悩まされます。他人の山へ勝手に入り込んで栗を持ち帰ろうとする輩が絶えないのです。昨日も寺のすぐ目の前で警戒中の私服警官が栗ドロボウを取っ捕まえるところを偶然目にすることになりました。

犯行現場は光明寺のほぽ正面、県道ぞいの栗山です。ここは毎年のように被害が発生しています。道路端に車を停めれば至って手軽に実行可能な場所です。それで狙われやすいのでしょう。でも他人の土地にあるものを勝手に持ち帰れば、たとえわずかな量でも立派な「窃盗」です。ましてやこの地区の栗はブランド栗として手間のかかっている大事な商品です。生産者にしてみれば許せない行為です。しかし、捕まえた犯人達に罪の意識は至って乏しいそうです。毎年取り締まりに当たっている地元の駐在さんから聞いた話ですが、「ほんの軽い気持ちで」っていうわけです。まったくもって困ったものです。日本人が失った大事なものの一つが「道徳心」だと誰かがいっていましたが、つくづくそうだと思います。

突然秋です

2010年09月23日

9月23日の本堂前.jpg

一昨日(21日)は真夏のように暑い一日でした。全国的にもこの時期としては記録的な残暑であったとニュース番組が報道していました。もう9月下旬だというのにどうなってるんでしょうね。昨日午後からは季節の変わり目にお約束の雷が轟いて、少々まとまった雨が降りました。夜半過ぎからは北風が吹きはじめて今朝は随分気温が下がりました。彼岸の中日となる本日(23日)はすっかり様変わりです。本堂の室温計は午後1時の時点で21.6度・湿度64%でした。たぶん本日の最高気温でしょう。一昨日はほとんど真夏だったのに今日から突然秋です。本堂で耳を澄ますと周囲の状況が激変したのが良く解ります。ほんの数日前まではセミの鳴く声が聞こえていました。それが今日は北風にざわめく木々の音と虫の音色が耳につきます。コオロギの音色を聞くとセンチメンタルな気分になるのは私だけでしょうか。

9月23日夕暮れ.jpg

本日は彼岸ですから夕日は真西に沈んで行きました。春の彼岸と同様に大銀杏の影が御本尊に伸びた直後に山寺は日没を迎えました。本堂前の石畳には先週から色づいたギンナンが落ち始めました。毎年この時期は強烈な臭いに悩まされるのですが、今年は極端に少なくて助かっています。今夏の異常な暑さの影響かもしれません。

暑さ寒さも彼岸まで

2010年09月19日

彼岸花と光明寺.jpg

本日は古川家の開眼供養を行いました。日が高くなると暑いので朝日を受けながらきっちり読経させて頂きました。施主の古川安子さんは一人住まいです。ご主人はすでに他界されており、子供さんは県外におられます。未曾有の豪雨となった今年7月15日の朝、私は古川さんのことが心配で電話をかけましたが、ご本人は隣家へ避難されていたので結局声を聞けたのは2日後でした。自宅がある集落は土砂崩れで道路が通行不能となり一時孤立状態でした。後に訪ねると古川さんのご自宅は無事てすが、残念なことに先祖代々の墓所が土砂崩れで完全に破壊されていました。お会いする度に「ご先祖様に申し訳ないことです」と口にされていましたが、この度新しい累代墓が完成しました。以前の墓所は山の斜面で少々不便でしたが今度のお墓は車で横付け出来ます。さぞや安堵されたことと思います。お彼岸にも間に合いましたし本日はこの上なく吉辰であります。

さて明日は彼岸入りです。「暑さ寒さも彼岸まで」と昔の人は言いました。日中の日差しは相変わらず強烈ですが、さすがに夜間の気温は随分下がるようになりました。「日暮れがずいぶん早くなったなー」と感じるようになったので、調べてみると本日の日の入り予定時刻は18時16分(山口)です。今年一番遅かったのは6月30日の19時30分ですから、すでに一時間以上早くなっています。ついでに本日と同じ日の入り時刻の日を遡ってみるとなんと3月9日です。山寺は今春思いがけない大雪に見舞われたのですが、9日はその前日です。日暮れの時刻は同じなのですが、春と違って今は厳しい残暑です。ずいぶん違うものですね。

百日紅が孤軍奮闘です

2010年09月09日

百日紅.jpg

山寺は一昨日、昨日と台風9号の影響で雨が降りました。関東では集中豪雨となって大変なことになっていますが、こちらでは正に「慈雨」でした。ずっと日照り続きだったので人間にも植物にも実にありがたかった。本日は朝から再び強烈な日差しです。もう少し雨が欲しかったですね。今年の夏は各地で「観測史上最高だ」とか「何十年何百年ぶりの出来事だ」などと、雨量や気温の記録更新が連発です。下関地方気象台のホームページを開くと、山口県内全観測所で8月の平均気温が観測史上最高になったと報じていますが、「そうだろうなー」と軽く受け流せるのが、今夏の厳しさを物語ります。本当にめちゃくちゃ暑かったですからね。山寺では境内の植物が枯れそうになって困りました。元々西向きで乾燥が激しい場所です。ですから夏期の水やりは欠かせません。ホースをあっちこっちに伸ばして頑張ったのですが被害は免れませんでした。今後も毎年こんな状況になることが充分予想されます。こうなると植える植物をしっかり吟味しないといけないのでしょうね。

ところで今年のような過酷な環境でも平気な花木もありました。本堂の前にある百日紅(サルスベリ)がそうです。この時期山寺の境内で目を引く花といえはこれです。まさに孤軍奮闘状態で咲いています。字の通り長期間(百日間あまり)紅色の花が咲き続けます。それで「百日紅」と書くのだそうです。だから花は紅色が標準なのですが、今日では品種改良でしょうか下の写真のような白花品種も見られます。こちらの百日紅は2年前に檀家の岩﨑幸三さんから苗木を頂戴したものです。今年から本格的に咲くようになりました。山門前の休耕田に5本まとめて植えてあるので結構目を引きます。大木になればさらに見栄えがするでしょうから先が楽しみです。

白花百日紅.jpg

今シーズンになって気づいたのですが、私の実家には薄紫の花を付ける百日紅がありました。(かなり昔からあったようです)「灯台下暗し」とはまさにこのことですね。この苗木を育てて3色目を植えることが今後の宿題です。百日紅は乾燥に強く手間がかかりません。花の少ない時期に長期間咲き続けますから貴重です。山寺のように厳しい環境の場所には実に都合の良い花木です。なんといっても水やりが不要ですから助かります。「よーし、いろんな品種の百日紅を植えまくって百日紅寺でも目指すかー」なんちゃって。

▲PAGETOP