こだわり住職のよもやま話

2011年7月

絶滅危惧種への義援金

2011年07月25日

富士通親指シフトノート.png

先日ノートバソコンを更新しました。ついにというか、ようやくというか、山寺にも待望のWindows7搭載マシンが導入されました。新戦力は富士通の法人向けモデル(LIFEBOOK E741/C)です。一応、A4ワイド画面のハイエンドノートということになります。 E741/Cというモデルは、今や絶滅危惧種となった親指シフトキーボードが、オプションで装着出来る貴重なノートパソコンです。発注時に好みの仕様に指定することが可能ですから、最新のCPUを搭載することも出来ますし、フルハイビジョンの液晶画面を選択することも出来ます。ビジネス用のPCですから、セキュリティー関連のオプションなどは特に充実しています。ただし、基本的に企業内での使用を前提にしていますから、個人ユーザー向けの最新トレンドからは、少々かけ離れている部分もあります。今時のパソコンだと、お約束となるTV視聴や録画機能なんてのは完全に無視です。 内蔵スピーカーもショボイ音しか出ません。際だって目に付くのは、HDDの容量が超少ないことです。160Gが標準で、オプションで変更できる最大容量は320Gです。ビジネスモデルに「大容量は必要なし」ということなんでしょうが、それにしても標準仕様の160Gは少なすぎです。まあ、HDDの容量に関しては、ドライブを自分で載せ替えれば良いのですから許せます。今やノートでも、テラバイトのHDDが内蔵出来る時代です。TV機能も、必要なら市販品を後付けすればよい。しかし、搭載されているUSBポートは問題でした。たぶんこれが、E741/C最大の弱点だと思います。

ご存じの通り、USBはすでに3.0規格が主流となって来ています。ところが、このノートは2.0規格のままです。今日では大量の動画データを保存するために、テラバイト単位のHDD(外付けの大容量)を利用することも珍しくありません。ところが、その接続に高速なUSB3.0が使えないのです。これまで使っていたノートは、当然3.0規格には対応していませんでした。しかし、サードパーティーの拡張カードをPCスロットに刺すことで、USB3.0を使うことが出来た。ところが、今回のE741/Cは、PCカードスロットが高速規格に対応しておらず、拡張カードでの増設も不可です。なんと先代よりスペックダウンです。これにはがっかりです。というか、大いに不満です。でも、今のノートを使い続けていくのも不安があります。PCなんて突然壊れるものですからね。それで泣く泣く調達した次第です。私のような絶滅危惧種愛好家が、外付けの大容量HDDを、USB3.0接続の高速転送で使いたい場合には、「ディスクトップPCに、富士通が出している親指シフトキーボードの組み合わせで使用して下さいね」ということなんでしょう。でも、それだと場所をとるので具合が悪いのです。富士通さん、どうしてE741/Cをこんな仕様にしたんでしょう。ビジネスモデルではありますが、少々割り切りが良すぎます。それと、もうひとつ、忘れちゃいけないのが価格です。親指シフトユーザーは、選択の余地がありません。富士通の言い値で購入するしかないのです。本来、E741/Cは企業向けに大量一括販売が主流のPCです。そういうときには、けっこう値引きがあるんでしょうが、個人購入となると、ずいぶん割高なことがしゃくに障ります。ほぼ同スペックの一般的なノートなら、5~6万は安く買えるんじゃないかな。こうなると、この割高感は「絶滅危惧種を保護するための義援金も含まれているのだ」と思うしかないですね。(笑って下さい)

さて、新しいPCを入手したというのに冒頭から不満タラタラですが、実は良いこともありました。(一応今年の夏モデルデですからね)それは、内蔵のDVDマルチドライブが、著作権保護対応になり、外部ディスプレーの出力がHDMIになったことです。私にとっては大きなメリットでした。先代はデジタル放送の録画DVD(著作権保護されている映像)を、内蔵ドライブで再生することはできませんでした。ドライブ自体が著作権保護に対応していませんでしたし、再生ソフトも未対応のバージョンでした。新PCにはDVDの再生ソフト(OEM版)が添付されています。そのままでも問題はないのですが、フルセットのWinDVD最新バージョンを直前に入手していたので入れ替えました。久しぶりのソフト更新です。これで衛星放送のダビングDVDも、ノートパソコンで問題なく再生できます。その映像をプロジェクターで投影して、大画面で鑑賞することも可能になりました。しかも、接続は、これまで望めなかったHDMIコード1本でOKです。(映像と音声データを両方送れる)同様に、今時のハイビジョンTVもHDMIコード1本で接続できますから、自宅のTVが巨大なディスプレイ代わりにもなります。娘や妻のノートパソコンでは早くから可能であったことが、ようやく私の絶滅危惧種でも実現しました。

山寺の坊さんは、お説教の材料としてビデオ映像を見て頂くことを時々やります。サラリーマン時代に、研修等で毎度おなじみだった手法です。自分の経験からして「皆さん退屈しないで良いでしょう」と、思うからです。ですから、プロジェクターはけっこう活躍しています。例えば、本山が開創800年の記念事業として作成したビデオの上映会などは大好評でしたね、。四季を通して本山のことが詳しく紹介されています。流れる映像や音楽は、プロがきっちり制作したものですから実に見応えのある作品でした。このビデオ(VHSです)から、オリジナルのDVDをこしらえて、プロジェクターで大画面に投影しました。さながらミニ映写会の様相でしたが、本山へ行かれたことのある方は限られるので、とても喜んで頂けました。今後も、こういうのをやりたいと思っています。ただし、問題は皆さんに見て頂く映像ソースの入手です。その有望株として、私は衛星放送に期待しています。よく見れば仏教関係の素晴らしい番組が結構あるじゃないですか。最近だとNHKが放映した「法然上人絵伝」の特集番組など、実に贅沢な内容で、お勉強になりました。そもそも「法然上人絵伝」は貴重な国宝ですから、直接見に行っても細部までしっかり鑑賞することは不可能です。テレビだから、あそこまで詳細に見せて頂けるのです。録画しとけば何度でもしつこく見ることが可能です。素晴らしいですね。これを、ほっとく手はありません。皆さんにも、大画面でしっかり見せてあげたい映像ソースです。さて、今春は法然上人800年御遠忌の大法要がありました。まもなくその時の記録DVDが入手できる予定ですから、これなども、ぜひ皆さんに見て頂きたいと思っております。本山の大法要を直接目にされている方は限られますからね。

草刈りシーズン到来

2011年07月25日

草刈り後の休耕田.jpg

「自転車並み」といわれたノロノロ台風6号も去り、いよいよ本格的な夏が到来しました。本日も雲一つ無い快晴です。こうなると山寺はいよいよ恒例の「草刈りシーズン最盛期」に突入です。昨日は寺のそばにある休耕田をやっつけました。こう書くと、いかにも「やりました」って感じですが、なんてことありません。今回も「あきら菩薩様」のお世話になりました。

あきら菩薩さん.jpg

昨日は午後から本堂裏手の斜面を刈ろうと、草刈り機の準備をごそごそやっていました。すると絶妙なタイミングで昭さんがご来山です。軽トラの荷台には藤井家のスーパーウエポン(乗用型草刈り機)がしっかり乗っかっています。この草刈り機、実に良く仕事をしてくれます。休耕田の草刈りなんてあっという間です。ご覧の通り、散髪を済ませた田んぼは牧草地のようになりました。写真に撮ると意外と絵になります。残念ながらまたすぐに草ボウボウになってくるのではありますが、この瞬間の満足感はけっこうあります。

調整池のハス.jpg

この休耕田の端っこは調整池になっていますが、昭さんが今春に苗を植えて下さった蓮華が少しずつ広がっています。今年は間に合わないかもしれませんが、いずれはしっかりはびこって見事な花を咲かせてくれるでしょう。楽しみです。それにしても昭さんはありがたい方です。やっぱ菩薩さんかもね?

ついに梅雨明けです

2011年07月11日

梅雨明けの青空.jpg

7月9日、福岡管区気象台が「九州北部地方(山口県を含む)は梅雨明けしたとみられます」と発表しました。昨年の梅雨明けは17日でしたから、今年はずいぶん早かったですね。これでもう豪雨の不安からは解放されます。あーよかった。一安心です。しかし梅雨が明けたら明けたで、暑いから大変です。昨日私は汗まみれで実に長い一日をすごしました。朝からカンカン照りの中、あろう事か、お葬式のかけもちをしました。こんなこと初めてです。新仏はどちらも7日にお亡くなりになられました。通常なら翌8日に通夜、翌々日の9日に葬儀となります。それで、どちからかを一日遅らせて頂いて重複を避けたいところですが、あいにく7月9日は友引です。それでいずれも9日に本通夜式を行い葬儀は10日に行うしかありません。結局、枕経から始まる一連の法務は全てかけもちで対応することになりました。

山寺の葬式は、ある意味とても丁寧(?)に執り行いますから、僧侶(私)の拘束時間は長くなります。出棺後に火葬場へ同行するのは当たり前ですし、収骨にお付き合いすることも多くなります。故人がお骨になってご自宅へ帰られたら、まず仏壇の前で、きっちりおつとめを行います。その後さらに初七日法要を行って一連の法務がようやく終了となるのです。そういう訳ですから、本来同じ日に二件の葬儀は無理です。そうなんですが、今回はやらざるを得なかった。さすがに、火葬後のおつとめに関しては、先に葬儀を行った家には、後から行う葬儀の一連の法務が全部終わるまで待って頂くしかありませんでした。昨日はとても蒸し暑い一日でしたから、読経中も汗が吹き出します。法衣はたちまちぐちゃぐちゃです。かっこわるいので、あまりしたくないのですが、お経をよみながら流れる汗をタオルで何度も拭うことになりました。本当に疲れる一日でした。

ところで、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口は、暦の中でも有名な暦注の一つで六曜といわれます。この六曜ってやつは、本来仏教とは関係ありません。陰陽道を由来とするものです。明治の代になり、太陽暦の暦が使われるようになった際に、カレンダー屋さん(暦の出版業者)が記載しはじめた事で、すっかり定着したものです。そして、その六曜の一つに、なぜか「仏滅」なんてのがあったりして、まるで仏教由来の縁起かつぎの様になってしまったのですね。私も、お坊さんになるまでは「当然仏教由来なんだろう」と思っていました(笑い)だから、本当は友引の葬儀を避ける必要はないのでしょうが、そうは行かないのが我々「日本人」なのであります。おかげで(?)田舎の坊さんは大変な思いをしなければならないのです。ぼやいても仕方ないのですけどねー。

大昔からなのでしょう

2011年07月04日

美祢西インターと極楽橋.jpg

檀家さんの墓地が移転することになり、本日は早朝から工事に立ち会いました。場所は美祢西インターの南にある山中の共同墓地です。このあたりは大昔に真言伽藍があった所だと云われています。山寺の大日如来が安置された最初の場所であり、かって大日ケ浴と呼ばれていた谷間に隣接しています。ここには厚保地区で一番大きな共同墓地があります。すでに何度も訪れていましたが、先日ちょっとした発見がありましたので書いてみます。

この墓地へ登る道は現在でも複数あり、その一つに現在中国自動車道美祢西インターのすぐそばから進入する経路があります。インター入口の横から高速道路の下をくぐって南側に渡ると、厚狭川支流の原川が高速に平行して流れています。その川にかかる橋を渡って共同墓地へ登って行くのですが、これまで私は、その橋の名を意識したことはありませんでした。今回ふと目がとまって、思わず「あっ、そうだったのかー」となりました。橋の名前は”極楽橋“です。なるほどねー。これには合点です。このあたりの歴史的な背景を考えると、「きっと大昔からそう呼ばれていたんだなー」と納得した次第です。

ごくらく橋.jpg

本日はお昼前より雷が轟いて、どしゃ降りとなりました。幸い一時間弱で落ち着きましたが、一時はかなりヤバイ感じでした。昨年7月15日に山寺は歴史的な豪雨で大変なことになりましたから、雨が降りはじめるととても不安になります。さて、九州南部はすでに梅雨明けしていますが、今年の山口県はどうでしょう。もう少しの辛抱なんでしょうが、それまでは雨が降る度にドキドキすることになります。

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