こだわり住職のよもやま話

2010年6月21日

アジサイの季節到来

2010年06月21日

山寺裏庭のアジサイ.jpg

遅れていた梅雨がついにやってきました。連日じめじめした日が続くのは誰だって遠慮したいものですが、私にとっては待ちに待ったチャンス到来です。アジサイの挿し木をするには実に都合が良いからです。山寺は小寺のくせに、寺所有の土地は不釣り合いに広くて管理が大変です。雑草が生え放題なので草刈りでへとへとになります。それで少しでも範囲を減らしたくてアジサイを植えて来ました。ご存じの通りアジサイは挿し木で容易に苗を育てることが出来ます。素人でも簡単に増やせるので金がかかりません。そういう意味では貧乏寺の救世主かもしれませんね。本当はいかにも寺社仏閣の境内らしい気の利いた樹木を植えて行きたいところではありますが、背に腹は代えられませんので毎年アジサイを挿し木で増やしてきました。今年で4年目になるので最初の頃に植えたアジサイは随分大きくなりました。ここまで成長すると雑草対策の目的をしっかり果たしてくれますから、草刈りは随分楽になりました。

アジサイといえば、山口県の防府市にはアジサイで有名な阿弥陀寺があります。それはもう圧倒的な量です。伽藍が立ち並ぶ周辺はもとより、山の中腹まで登ることになる参道の周囲も一面アジサイだらけです。地元の有志や商工会等が何十年も植え続けて来たので実に見事なものになっています。これだけアジサイがはびこっていると草刈りをしなくて済みますし、アジサイ目当ての観光客も沢山来てくれますので寺も潤います。山寺の坊主にしてみれば実に羨ましいことこの上なしであります。「あそこまで立派にならなくても良いけど、せめて草を刈らなくていいようにアジサイがはびこってくれたらナー」なんて思いながら、今年もせっせとアジサイを挿し木しています。

さて、毎年梅雨の頃になると園芸店にはさまざまな品種が並びますが、一般的な大輪のアジサイは西洋アジサイです。これらは日本原産のガクアジサイを改良したもので、主に海外で品種改良されて日本に戻ってきたものだそうです。その昔シーボルトがアジサイを新種として登録した学名は(Hydrangea otakusa)でした。後に植物学者の牧野富太郎氏が(otakusa)はシーボルトが日本での妻であった「お滝」にちなんで命名したのであると指摘した話は有名ですね。花言葉を調べると「移り気」「高慢」「辛抱強い愛情」「元気な女性」「あなたは美しいが冷淡だ」「無情」「浮気」「自慢家」「変節」「あなたは冷たい」などと、少々イメージが良くない。でも雨上がりに眺める姿は実に日本的な美しさを感じさせてくれます。花言葉は「ちょっと違うんじゃない」と感じるのは私だけでしょうか。

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