こだわり住職のよもやま話

2010年4月4日

花の命は短かし

2010年04月04日

2010年しだれ桜.jpg

この土日は良いお天気に恵まれて市内の桜は満開です。山寺のシダレ桜も見事に咲いています。たぶん本日がピークでしょう。このシダレは一般的な吉野桜とは異なり、花の命がとりわけ短くて賞味期間はわずかです。たぶん次の土日にはもう見られないでしょう。吉野桜より4~5日遅く開花が始まって一挙に満開となり、先に散ってしまう実に潔い桜です。そのため、ピークを迎える前に風雨にやられてしまい満開の状態をめったに見られません。今年は運良く雨に打たれなかったので無事に咲き誇り、すでに風が吹くたびにハラハラと散り始めています。日本人は昔から、はかなさの象徴みたいなこの花木を、こよなく愛してやみませんでした。パッと咲いてパッと散っていくところが、まさに滅びの美学を感じさせてくれます。桜が散りゆく姿を眺めていると、坊さんでなくても「無常」を感じずにはおられないのではないでしょうか。

姿かたちあるもの何時かは滅び去ります。およそこの世に永遠というものは無く、仁王経(にんのうきょう)に説かれる「盛者必衰の理」を感じさせてくれます。今年も多くの方がこの桜を見に来られた。写真を撮る方、絵を描く方、人それぞれ様々な思いを持ってこの桜を眺められたのであろう。

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