こだわり住職のよもやま話

2010年4月14日

にわか土建屋再始動

2010年04月14日

山桜の大木.jpg

寒がりなので冬の間はじっとしていましたが、このところの陽気に誘われて、にわか土建屋の虫がムズムズして来ました。それで、ひさしぶりにバックホーの運転台に乗り、山寺の裏山へ分け入ってみました。寺の背後の山は弘法大師八十八ケ所霊場の参道がぐるりと取り囲んでいて、頂上まで石像が設置してあります。大正四年に建立されているので、たぶん運搬は人力と牛馬だったのでしょうが、よくこんなところまで運んだものです。参道にはとても急傾斜な箇所があるので手ぶらで登っても結構疲れます。それで思い切って管理のためのアクセス道を作ることにしました。霊場霊園の一番奥から登り始めて、27番のそばに出る道がまず完成しました。思っていたよりも簡単に(?)出来たので、調子に乗ってさらに作業を続け、19番や34番へ通じるアクセス道も造ってしまいました。これで、今後は登りの八合目くらいまでは機械で容易に重量物を運ぶことが可能です。

登り側のアクセス道が無事完成したので、森の中を横断する林道も切り開いてみました。するとその過程で思わぬ発見がありました。木立の隙間から快晴の空を見上げると、青い空をバックにして雲のように白く見える場所がありました。不思議に思ってそばに行って見ると、なんと山桜の大木が見事に咲き誇っているではないですか。こんな所に桜があるなんて知りませんでした。周囲の雑木も大木なので花は日差しを求めてとても高い所で咲いています。それで、空を見上げないと見えなかったのです。実に運が良かった。花が咲いていなかったら、たぶん気づかなかったでしょう。なんだかとても得した気分です。来年は周囲の雑木を少々伐採して、もっとよく見えるようにしてやりたいものです。霊場の森は毎年竹の伐採をしないと竹林化がどんどん進行します。この道があれば今後は管理が楽になるでしょう。我ながら上出来です。普段はまったく飲みませんが祝杯を上げたい気分ですね。この調子で下り側のアクセス道も造ってみたいものです。

 林道工事-1.jpg

使用したバックホーは檀家さんから借りっぱなしで、光明寺の什器状態になっている機械です。クボタ建機のミニバックホーで、旧型のU35というモデルです。地元は超大粒のブランド栗である「厚保栗(あつぐり)」の産地なので、寺の周囲には栗山が沢山あります。その栗山に道を作るのに機械があると便利なので、所有されている家がまれにあります。このバックホーも、そんな栗山の整備が主な目的だった個人所有の機械ですが、栗山用としては少々大き過ぎるくらいのサイズです。軽トラが乗り入れられる位の立派な道でも、切り開くことが可能です。機械の重量は約4トンですが、にわか土建屋の私が使うには実に都合が良いサイズです。通常このクラスから本職が土木工事等で使用しはじめますが、個人の場合はちょっと大きすぎるかもしれません。キャタピラの間隔が約1.6メートルあるので、狭いところには入れなくて用途が制限されます。だから個人で所有する場合には、もう1クラス小さい方が都合が良いものです。しかし山林等の傾斜地で作業をするとなると、この大きさが生きて来ます。小さな機械で無理をして作業をすると転倒事故のリスクが高まります。なるべく大きいほうが安全なのです。この機械なら仕事もそこそこ早いし、山寺の裏山に林道を造るにはもってこいです。実に具合が良いのです。

私は前総代の長田社長(水道工事店)に機械の使い方を教わり、作業を行う際のテクニックや注意すべき点、作業の進め方のコツなどをしっかり教えてもらいました。(最初にこれを学んでいないと事故を起こす可能性が大です)それからというものは、寺の整備で度々バックホーをレンタルして来ましたが、今では借りっぱなしの機械があるので、暇なときに好きなようにやることが出来ます。このサイズをレンタルすると一日当たり八千円位はかかります。使用する際には6トン積みのトレーラーで現場まで運んでもらわなければならないので、その回送料として往復で一万円は別に必要になります。昨年秋から借りっぱなしの状態ですが、燃料の軽油さえ買ってくればいつでも自由に使えるのでとても助かっています。キロク(レンタル屋)の藤井さん(営業)は、客が一人減ったので多分がっかりしているでしょうけどね。

さて、この手の機械の操作を覚えてしまうと、素人は大きな機械を使ってみたくなるものです。私もそうでした。大きいところでは日立建機の75サイズ(8トン弱)や120サイズ(12トン強)を操作したこともあります。最初は怖かったのですが慣れると大きい方が楽です。上手な人が操作すると、信じられないような傾斜や段差を登り下りすることも可能です。キャビン(運転席)にはエアコンやラシオが装備されているので実に快適です。良いことだらけみたいに言ってますが、このクラスになると図体がでかいので、シャベルの腕を旋回させる際には、周囲をよくよく確認して操作をしないと本当にヤバイです。油圧の力は非常に強いので、ちょっと当たっただけでも大変なことになります。私は寺の塀を見事に破壊したことがあります。いずれ撤去しようと思っていたので、それはそれで問題はなかったのですがヒヤリとしたものです。

こういうレンタルの建設機械は、通常日割り計算(土建屋さんは月単位でレンタルすることが多い)なので、借りる際には一日でも早く仕事を終わらせて返却しないといけません。料金に跳ね返ってきますからね。大きいのを借りちゃうと当然単価も上がります。一日が1万5千円とかになるのですから必死にもなりますよね。それで無理して早朝から日が暮れるまで動かし続けることになります。作業灯を照らして夜遅くまで動かしたり、食事の時間も惜しんで作業したりしました。一日の稼働時間が12時間なんてこともあって、レンタル屋も驚いていました。(機械には稼働時間を記録する時計が付いてます)ですから、レンタルだとどうしても気持ちがあせってしまうものです。スピード優先の作業を行うので、それで塀を壊したりする訳です。今は時間を気にすることもなくマイペースで作業ができるので、そんな心配も無くなりました。実に有りがたいことです。

もう4年半前になりますが、長田社長と二人で大日堂へ登る道の拡張工事をしたときの写真があったので掲載します。この工事でバックホーの操作を覚えました。 後に私があっけなく破壊したブロック塀が右側に写っています。妙に懐かしく思える写真です。

境内整備工事.jpg

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