こだわり住職のよもやま話

2011年4月25日

相続は仏教語でした

2011年04月25日

ロウソク.jpg

ここ最近、新幹線で京都へ出かけることが続きました。移動中の時間は退屈ですから、私は必ず雑誌や単行本を手にしてから乗車します。先日京都から帰る際に読んだ本は、おもわず「これは良い本に出会えたな」と思いました。私たち日本人は仏教語を日常的によく使っています。しかし、それが仏教由来の言葉だと知らずに使っていたり、仏教本来の意味とは違う使い方をしていることが意外と多いものです。その本は、そんな数々の仏教語をやさしく解説してくれています。実に気軽に読める仏教入門書でもあります。本願寺出版社・辻本敬順著・くらしの仏教語豆辞典(上・下)という書籍ですが、わすが600円です。実にお値打ちです。とても良い本ですから、その中から一つご紹介したいと思います。

お題は「相続」です。相続と聞くと、筆者も書かれているように、我々は「遺産相続」なんて言葉をつい連想しますが、実は「相続」とは、いろいろなお経の中で出てくる言葉であり、元々は仏教語だったのです。不勉強な私は「あっ、そうなんだー」でありました。以下内容を一部引用させて頂きます。

・・・仏教では、すべての現象は諸行無常で、変化して一瞬一瞬生滅すると説きますが、その流れは継続するといいます。今、ここにローソクの火があります。その火それ自体は、一瞬に燃えつきて滅し、その直後に別の火が燃えて、それが絶え間なく連続するから、一つの火として燃えているように見える、というわけです。つまり非連続の連続。これが相続で、「倶舎論」などいろいろな仏典に出て来る仏教語です。その仏教語が現代使われているように、引き続き起こること、受け継ぐことの意味となって、一般にも用いられるようになりました。・・・(一部抜粋)このように辻本敬順師(著者)は解説されています。うーん、実に解りやすいですね。おまけに結びの一文が素晴らしい。

・・・相続といっても、財産や名誉を相続することばかりに、うつつを抜かさないでくださいよ。お念仏相続という、大切な相続もあるのですから。

いやー、おっしゃる通りであります。恥ずかしながらこの私も仏教者の端くれです。お念仏の相続を肝に銘じなければなりません。よい勉強をさせて頂きました。

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