こだわり住職のよもやま話

2011年3月

東日本大震災物故者之精霊増長菩提

2011年03月20日

彼岸会勤行.jpg

昨日は大震災で亡くなられた方々のために行われた中尊寺の法要が報道されていました。我が山寺も15日の彼岸会で、ご参詣の皆さんと共にお念仏を称えて犠牲者の冥福をお祈りしました。今年の彼岸会が急遽追悼式を兼ねた法要になるなんて。私はふと小泉さんが言ってた「人生には三つのサカがある」という言葉を思い出しました。人の生涯には登りサカの時があれば下りサカの時もあります。そして、突然おとずれる三つ目のサカもある。そのサカは「マサカ」と呼ばれて来たのだと。

これほどまでの大災害を誰が予想したでしょうか。どれだけの人々が涙したことでしょう。それでも事態は現在も進行中です。私たちはこの現実を受け入れるしかありません。そしてこれからも生きていかねばなりません。過酷な被災地で懸命に戦う人々の姿に感銘を覚えます。国内はもとより海外からも支援や温かい励ましが多数寄せられています。およそこの世で人間ほど残酷で罪深い生き物は無いかもしれません。しかしこれほど崇高で素晴らしい存在であるのもまた人間です。いまこそ日本人の、そして人類の真価が問われています。

山下俊茂師.jpg

山寺の彼岸会は勤行に引き続き、西迎寺住職 山下俊茂師より、お説教の冒頭で本山ご法主のおことばをお伝え頂きました。そのおことばには「他力念仏の真意を胸に、ありがとうにつつまれてを心に、世の人々に光明を与えん」とありました。いま多くの人々がたとえようのない哀しみに沈み、命の重さに深く思いをめぐらせていることでしょう。そんな状況の中で被災者のみなさんに救いをもたらすのは、数え切れない多くの人々の思いと具体的な行動です。そして、そこから生まれる感謝の思い、ありがとうの心が、明日への希望につながるのだと信じております。

今私たちに出来ること

2011年03月17日

東日本大震災で一番心に響いた画像集より.jpg

「津波を利用して我欲を洗い流す必要がある。日本人の心のあかをね。やっぱり天罰だと思う」と発言した石原東京都知事に対して、非難の声が多数上がったのは当然でしょう。歯に衣着せぬ発言こそが石原氏の「らしさ」であることは誰もが認めるところですが、間違いなく戦後最大の災害であり今も拡大中である重大局面での発言です。「我欲を洗い流す必要がある」の言葉は、ご本人の信条を強く反映させたものであることは想像できますが、「津波を利用して」だとか「天罰」などという言葉は少々無神経でした。石原氏は発言が問題視されてよく話題になりますが、そんな時の都知事の姿は、私には思い込みが強烈に激しくて他人の意見にまったく耳をかさないがんこ老人にしか見えません。私もいずれそんな老人になって周囲に迷惑をかけるのかもしれません。ですから若輩者があれこれ意見するのは実におこがましいのですが、しかし氏は東京都知事です。その責任と影響力を考えると一国民として一言申し上げずにはおられません。ご本人は国内のありとあらゆる冨と権力を吸い寄せて、まさに我欲の象徴である東京の知事として三期君臨されておられる。「なんだかんだ言われながら、さーっと姿を消すのがいいじゃない。鞍馬天狗みたいに」と引退を示唆したり、「立候補は無い、120%無い」などと言いながら、やっぱり立候補だという。当然勝算は充分おありなのでしょう。今後も石原氏が我欲の都市「東京」の采配をされるのかもしれません。しかし、そうであれば、それゆえに、長年東京の舵取りをしてきたご自身の責任を感じ、あるいはこの国の未来を憂えるあまり、思わずあのような言葉が出てしまったのだと思いたいものです。

(坊さん)らしくないことを書きました。「我欲」という言葉を都知事が取り上げられたので、ついつい敏感に反応してしまいました。あの発言は本意が正しく伝わっていないであろう事は充分理解出来ます。しかし、大きな影響力を有する石原氏なのですから、言葉やタイミングを誤れば多くの人々の心を傷つけます。「政治家は言葉がすべて」などと言われますが、今の政治家を見ていると言葉の軽すぎる方が実に多いように思えて仕方ありません。大局的な見地から発言すれば、今回の石原氏のように精神的あるいは哲学的な考察や意見もあるでしょう。確かに私たちは知事の言うところの「我欲」に対して真摯に反省をしなければならないと思います。しかし一般庶民にとっては今はそんなことよりも、食料や燃料、電気や放射能の事が心配です。被災地では多くの人々が生命の危機にさらされながら必死で戦っています。必要なものは毛布・衣類・燃料・電池・ライト・ラジオ・水・食料・ミルク・衛生用品・医薬品などと数え上げるときりがありません。今はこんな雑多な物資が、生きる為に何よりも貴重であり被災者の生命線です。我々は東京電力の対応の鈍さに苛立ち政府の危機管理能力の低さに不満を募らせながらも、それでもこの国で生きて行かねばなりません。戦後最大の非常事態を迎えた私たちにとって、今出来ることとはなんでしょうか。それぞれがそれぞれの立場でしっかり考えて、具体的に行動するしかありません。

いよいよ春ですね

2011年03月02日

大量に飛散する杉花粉.jpg

本日は良いお天気でしたが風か強い一日でした。山寺へ出勤する道すがら大量に漂う杉花粉を何度も目にしました。最初は煙かと思ったほどです。あまりにも強烈なので思わず車を止めて写真を撮りました。すごい量です。私は全然平気ですが、アレルギーのある方は大変ですね。これもいわば春の風物詩なのかも。山寺の周囲は今は梅が咲き誇っています。その次に控える椿はまだまだです。昨年は3月10日に大雪が降りましたが、雪の中で光明寺の椿はしっかり咲いていました。でも今年はまだ一輪も開花していません。この様子だと桜も遅くなりそうですね。昨春の桜は開花後に雨が降らなかったので随分長く楽しめました。とりわけ短命な光明寺のしだれ桜と、そのしだれよりさらに開花が遅い大日堂広場の山桜が同時に咲き誇ったのですから幸運でした。ごらんの通り両者を写真に残すことが出来ました。さて今年はどうでしょうね。

春の光明寺.jpg

WEBを検索すると県内の古木や大木等の写真が掲載されているサイトが出てきます。それらをのぞくと、山寺のしだれ桜や大イチョウもあります。中でも宇部市の優二さんが開設されている「山口県の旅」https://yamaguchitabi.com/mine3.0.html と、萩市のいしさんが開設されている「山口県の樹木達」http://ishike2007.web.fc2.com/03west/02mine/021mine/01_03_01_01_03.htmは、とても見応えがあります。ご両人ともあっちこっち撮り歩いて多数写真を掲載されています。ここまできたらもうライフワークです。景勝地や大樹等のデーターベースとしてもすでに貴重なサイトです。今後もどんどん充実することを期待しています。

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