こだわり住職のよもやま話

2011年3月17日

今私たちに出来ること

2011年03月17日

東日本大震災で一番心に響いた画像集より.jpg

「津波を利用して我欲を洗い流す必要がある。日本人の心のあかをね。やっぱり天罰だと思う」と発言した石原東京都知事に対して、非難の声が多数上がったのは当然でしょう。歯に衣着せぬ発言こそが石原氏の「らしさ」であることは誰もが認めるところですが、間違いなく戦後最大の災害であり今も拡大中である重大局面での発言です。「我欲を洗い流す必要がある」の言葉は、ご本人の信条を強く反映させたものであることは想像できますが、「津波を利用して」だとか「天罰」などという言葉は少々無神経でした。石原氏は発言が問題視されてよく話題になりますが、そんな時の都知事の姿は、私には思い込みが強烈に激しくて他人の意見にまったく耳をかさないがんこ老人にしか見えません。私もいずれそんな老人になって周囲に迷惑をかけるのかもしれません。ですから若輩者があれこれ意見するのは実におこがましいのですが、しかし氏は東京都知事です。その責任と影響力を考えると一国民として一言申し上げずにはおられません。ご本人は国内のありとあらゆる冨と権力を吸い寄せて、まさに我欲の象徴である東京の知事として三期君臨されておられる。「なんだかんだ言われながら、さーっと姿を消すのがいいじゃない。鞍馬天狗みたいに」と引退を示唆したり、「立候補は無い、120%無い」などと言いながら、やっぱり立候補だという。当然勝算は充分おありなのでしょう。今後も石原氏が我欲の都市「東京」の采配をされるのかもしれません。しかし、そうであれば、それゆえに、長年東京の舵取りをしてきたご自身の責任を感じ、あるいはこの国の未来を憂えるあまり、思わずあのような言葉が出てしまったのだと思いたいものです。

(坊さん)らしくないことを書きました。「我欲」という言葉を都知事が取り上げられたので、ついつい敏感に反応してしまいました。あの発言は本意が正しく伝わっていないであろう事は充分理解出来ます。しかし、大きな影響力を有する石原氏なのですから、言葉やタイミングを誤れば多くの人々の心を傷つけます。「政治家は言葉がすべて」などと言われますが、今の政治家を見ていると言葉の軽すぎる方が実に多いように思えて仕方ありません。大局的な見地から発言すれば、今回の石原氏のように精神的あるいは哲学的な考察や意見もあるでしょう。確かに私たちは知事の言うところの「我欲」に対して真摯に反省をしなければならないと思います。しかし一般庶民にとっては今はそんなことよりも、食料や燃料、電気や放射能の事が心配です。被災地では多くの人々が生命の危機にさらされながら必死で戦っています。必要なものは毛布・衣類・燃料・電池・ライト・ラジオ・水・食料・ミルク・衛生用品・医薬品などと数え上げるときりがありません。今はこんな雑多な物資が、生きる為に何よりも貴重であり被災者の生命線です。我々は東京電力の対応の鈍さに苛立ち政府の危機管理能力の低さに不満を募らせながらも、それでもこの国で生きて行かねばなりません。戦後最大の非常事態を迎えた私たちにとって、今出来ることとはなんでしょうか。それぞれがそれぞれの立場でしっかり考えて、具体的に行動するしかありません。

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