こだわり住職のよもやま話

2016年8月

やさしい仏教講座(第3回)

2016年08月21日

釈迦誕生仏

○お釈迦さまはどうやって仏陀になられたのか
お釈迦さまは、約2500年前(紀元前566年あるいは463年)にインドの北部(現在のネパール近郊)を治めていた釈迦族の王子として誕生(4月8日)されました。何不自由のない生活を送っていましたが、幼い頃より人間がもつ根元的な苦しみ「生・老・病・死」について深く思いを巡らされておられました。お釈迦さまは29才の時に、その苦しみを超える道を求めることを決意され出家されました。出家したお釈迦さまは、さっそく壮絶な苦行に入りました。しかし、お釈迦さまは6年目の35才の時に、この苦行を捨てます。苦行そのものによって悟りを開くことはできないと判断されたからです。苦行を中止したお釈迦さまは菩提樹の下で座禅を組みました。そして瞑想に入り、人間の真実、宇宙の真理について思いを巡らされました。その間、悪魔たちがお釈迦さまを襲ったといわれています。しかしお釈迦さまはこれを退け、7日目(21日目という説もある)の明けの明星が輝く頃、ついに万物の真理について悟りをひらかれ仏陀となられたのです。

○お釈迦さまの中道思想
中道思想とは仏教の根本的な思想です。お釈迦さまは悟りを開いて仏陀となられ、「欲望のままに生きて快楽を満たすこと、あるいは逆に自らの身をさいなめ苦をよしとすること、このような両極端の道は無益である」と断じて「中道」を説かれました。「真理をとらえるためには極端に偏ってはいけない。その中程を貫く過程、すなわち中道が大切なのである」と、説かれたのです。お釈迦さまが現存された時代は、真理の追究とは苦行を行うものであり、その行とは苦しければ苦しいほど良いとされた時代でした。従って、お釈迦さまの中道思想は当時としては画期的な考え方でした。お釈迦さまのこの思想は、王宮での何不自由もなく快楽に満ちた生活と、6年に渡る苦行生活という両極端の体験から生まれた思想だと思われます。ただし、お釈迦さまは苦行をすべて否定されたわけではありません。お釈迦さまは苦行によって徹底的に自我をそぎ落とす修行をした結果、欲望をコントロールし、悟りの境地に至られたのです。ただ、自分が最初に苦行というとてもつらい川を渡って悟りへの橋を架けたから、後進には極端な苦行は必要ないのだという意図で「中道」を説かれたのです。だから、ここで誤解してはいけないのは、中道思想とは「努力をする必要はない」とか、「本気でやらなくてもよい」といっているわけではないのです。私たちにとっての中道とは「極端な考え方をするな、なにごとにも偏見を持もつてはいけない」と、とらえるべきなのです。

やさしい仏教講座(第2回)

2016年08月01日

光明寺十六羅漢

○大乗仏教ではだれでも仏になれると説く

お釈迦さまは人間としてこの世に生まれ、真理に目覚めたから仏陀と呼ばれることになったのですが、お釈迦さまの入滅からおよそ500年が経過して大乗仏教が誕生すると、お釈迦さまは六道輪廻の世界で何度も生まれかわりながら修行をつづけ、最後に仏陀の化身として人間界に誕生したのだと考えられるようになりました。そして、真理に目覚めれば、だれでも仏陀になれると考えられるようにもなりました。だから仏教は、仏陀(釈迦)の教えであるとともに、みんなが仏陀になるための教えでもあるようになったのです。このように大乗仏教では私たち凡夫でも仏陀(仏)になれると説きます。これに対してキリスト教・ユダヤ教・イスラム教では、唯一絶対の神を崇拝し、崇拝する側は神にはなれません。ここが西洋宗教と仏教の大きな違いです。

 

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