こだわり住職のよもやま話

2014年10月

続・ここまでやったら

2014年10月22日

安部家累代墓の解体作業.jpg

安部哲男さん宅の墓所解体工事が終了しました。本日はこの話題で書きます。まず結論から言えば見事な後始末が出来ました。今回、古墓の運搬は墓石店に依頼しました(新墓所へ並べるので)が、コンクリート台座の解体と片づけは自分たちでやりました。これも機械が持ち込めたからですが、ここまでやったら立派でしょう。

我々が最初にとりかかった作業は、墓石を運び出す運搬車の進入路を確保することでした。例によってキロク(建設機械リース屋)からミニバックホーをレンタルしました。これで墓所へ入る道をつくります。重機のオペレーターは私です。この作業は楽勝でした。なんてったって山寺の住職はバックホーを使わせたらもうプロ並ですからね。(少々自慢)たちまち完成して快調な滑り出しでした。しかし、間もなく我々は顔色が変わることになります。

想定外でした。安部家の台座は見た目に反してめちゃめちゃ丈夫でした。外から見た感じでは楽勝だったのに、実は内部まで強固に固められた要塞でした。そんな墓石が三基もあって予想外に手こずることになります。最初に挑んだのが写真の墓石ですが、我々はたちまち電池切れ寸前です。それで、途中からは小さく砕いていくのはあきらめることになりました。そう、重機が持ち込めているのですから、これを活用しない手はありません。幸か不幸か、土葬のお骨回収で現場にはとてつもなく大きな穴を掘ることになりました。それで、この穴にまるごと埋葬することで首尾良く決着させたのです。お世辞にもスマートなやり方じゃありません。でも、ご先祖はきっと許して下さるはずだと思っています。

ご先祖のお骨回収.jpg

土葬だった時代のお骨の回収は徹底的にやりました。掘っても掘ってもなかなか出てきませから苦労しましたけどね。結局、深さ2㍍近くまで広範囲に掘り進めてようやく成功です。見事なお骨が出てきました。我々は機械で掘るからいいですが、当時は当然人力です。さぞかし穴掘りは大変だったでしょう。昔の人はすごいことやってたんですね。

安部家墓所跡

ご覧の通り見事に更地になりました。もうこの場所を使うことはないでしょうが、ここまでやったら見事です。ご先祖のお骨は、哲男さんの希望通り自分達の手できっちり回収出来ました。ていねいに洗って差し上げ新聞紙に広げて天日干しもしました。そして新たな骨壷に収めました。乾燥剤もオマケで入ってます。これなら申し分ないでしょう。本当によかったですね。

ここまでやったら立派です

2014年10月05日

責任総代のお一人、安部哲男さん宅の墓所がこのたび山寺の霊園に引っ越すことになりました。すでに新しい墓石は完成していますから、いよいよ古い墓石の解体撤去とお骨の引っ越しです。現在の墓所は寺の近所の山中にあります。ここは明治の代から周辺地区の家々が代々使用して来た共同墓地です。ただし、今となってはお世辞にも良い場所とは言えず、可能ならばすぐにでも引っ越しをしたい墓地だと言っても差し支えないでしょう。なぜなら、ほとんどの家が急な赤土の斜面を歩いて登らないとたどり着けないからです。雨降り後などは墓参りなんてとても出来ません。ですからすでに移転した家も結構あります。近い将来には間違い無く荒廃が予想される墓地です。もう四年前になりますが、美祢市を襲った歴史的な豪雨の際には大変なことになりました。ご当家の墓所も敷地の一部が崩れて墓石が今にも傾きそうになりました。幸い(?)安部家のお墓は工事用の機械がギリギリ入れてなんとか復旧工事をすることが出来ましたが、転居は時間の問題と言ってもいい状態でした。

安部家墓所の撥遣供養.jpg

さて、そういう訳で本日午後、山寺の坊さんはご当家のお墓の前で墓所解体前の最後のおつとめ(撥遣供養といいます)とあいなりました。それも滅多にやらない超本格的な法要です。普通ここまではやらないんですが、施主のたっての希望もありましたので、我が宗派の正式な手順にのっとって、きわめて丁寧なやり方で供養を致しました。ここまでやったら立派であります。ただし施主も坊さんも互いに大変でしたけどね。なんてったって、あの山中での法要です。正式にやるとなると、いろいろお道具やお供え物などを持ち込まなくてはいけませんから準備が大変です。おまけに蚊が沢山いますから「デング熱になりゃせんやろか?」なんて心配もしなくちゃいけません。極めつけは、よりによって台風が接近してくる最悪のタイミングでしたから雨や風の心配もありました。感心なことに哲男さん、雨が降ってきたら困るからと、仮設のテントを早朝から準備しておられました。正直、驚きました。施主がここまで本気になってるんですから、坊さんも一際気合いを入れて臨まなければなりません。普通はやらない正装(だって衣装がダメになる恐れがありますから)で、キッチリおつとめをさせて頂きました。これならご先祖もさぞかし喜ばれたことでしょう。哲男さん、おつかれさまでした。ホント良いことをされましたね。

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