こだわり住職のよもやま話

ここまでやったら立派です

2014年10月05日

責任総代のお一人、安部哲男さん宅の墓所がこのたび山寺の霊園に引っ越すことになりました。すでに新しい墓石は完成していますから、いよいよ古い墓石の解体撤去とお骨の引っ越しです。現在の墓所は寺の近所の山中にあります。ここは明治の代から周辺地区の家々が代々使用して来た共同墓地です。ただし、今となってはお世辞にも良い場所とは言えず、可能ならばすぐにでも引っ越しをしたい墓地だと言っても差し支えないでしょう。なぜなら、ほとんどの家が急な赤土の斜面を歩いて登らないとたどり着けないからです。雨降り後などは墓参りなんてとても出来ません。ですからすでに移転した家も結構あります。近い将来には間違い無く荒廃が予想される墓地です。もう四年前になりますが、美祢市を襲った歴史的な豪雨の際には大変なことになりました。ご当家の墓所も敷地の一部が崩れて墓石が今にも傾きそうになりました。幸い(?)安部家のお墓は工事用の機械がギリギリ入れてなんとか復旧工事をすることが出来ましたが、転居は時間の問題と言ってもいい状態でした。

安部家墓所の撥遣供養.jpg

さて、そういう訳で本日午後、山寺の坊さんはご当家のお墓の前で墓所解体前の最後のおつとめ(撥遣供養といいます)とあいなりました。それも滅多にやらない超本格的な法要です。普通ここまではやらないんですが、施主のたっての希望もありましたので、我が宗派の正式な手順にのっとって、きわめて丁寧なやり方で供養を致しました。ここまでやったら立派であります。ただし施主も坊さんも互いに大変でしたけどね。なんてったって、あの山中での法要です。正式にやるとなると、いろいろお道具やお供え物などを持ち込まなくてはいけませんから準備が大変です。おまけに蚊が沢山いますから「デング熱になりゃせんやろか?」なんて心配もしなくちゃいけません。極めつけは、よりによって台風が接近してくる最悪のタイミングでしたから雨や風の心配もありました。感心なことに哲男さん、雨が降ってきたら困るからと、仮設のテントを早朝から準備しておられました。正直、驚きました。施主がここまで本気になってるんですから、坊さんも一際気合いを入れて臨まなければなりません。普通はやらない正装(だって衣装がダメになる恐れがありますから)で、キッチリおつとめをさせて頂きました。これならご先祖もさぞかし喜ばれたことでしょう。哲男さん、おつかれさまでした。ホント良いことをされましたね。

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