こだわり住職のよもやま話

慶宣の接待につかえるかも

2010年01月24日

本日は有働(うどう)家の年回忌法要がありましたので、御当家のお仏壇の前で一曲歌って(礼賛偈ですね)来ました。いつものお経(阿弥陀経と日中礼賛偈)は、すでに何度か聴いて頂いている家なので、今回は違うバージョンで読経しました。本山で毎朝行われている一連のお経に、般若心経や十四行偈等を追加した、特別プログラム(?)で法要を行いました。今年元旦の記事でも書いていますが、本山の朝のおつとめでは必ず「菩薩戒経」を読みます。それで、その意義についても少々講釈をたれさせて頂きました。読経が終わると、車で移動して寺の背後にある有働家のお墓に寄り、食事は菊川町のサングリーン菊川でした。菊川温泉の入浴とお食事が出来る施設です。田舎の坊さんは、たいてい年回忌法要後のお食事に同席することになります。(お暇ですからね)昨今は食事を外でされる家も多くなりました。それで、近郊の食事処を坊さんの姿で訪れる機会が多くなります。(最初は抵抗があった)これまでも何度かこちらに来たことはあるのですが、サングリーン菊川は昨年秋にリニューアルしています。嬉しいことに、お料理が一段と良くなっていました。いろんなふぐ料理がまんべんなく盛り込まれている、なかなか立派な会席を頂戴しました。それで「これはいいや」ということになり、例の慶宣(1/9記事・慶宣が山寺にやってくる)が、山口へ来た際の食事に使えるんじゃないかと考えたわけです。帰りにフロントでチラシを頂くと、残念ながら本日頂戴した会席は期間限定の特別サービスらしくて、2月14日までだというではないですか。あら残念。

南風泊市場

山口県はご存じの通り、ぶぐの水揚げ日本一です。下関駅のすぐ裏側、狭い水道を挟んで対岸が彦島です。その彦島の北端にある南風泊(はえどまり)市場が、国内に流通するトラふぐの大部分(8割強くらいかな?)を扱っています。ふぐは地元山口の名産です。しかしふぐは高いものです。一番高いのは内海ものの天然トラふぐ(生きてるやつ)らしいです。バブルの時代には、この市場でセリ落とされる価格は㎏3万円以上していました。1㎏というと大したこともないサイズです。それが3万ですから、料理屋で口に入る時はいったいいくらになっていたのでしょうね。最低でも2~3倍にはなるでしょうから、やっぱり高価なお魚ですね。(最近の落札価格は㎏1万円少々らしい)でも、山口県民にとって、ふぐはある意味とても身近なお魚です。実は高級な天然トラふぐではなく、養殖ものや白サバふぐなどの、少しランクは落ちるのだけど庶民的なふぐ刺(一人用パック)が、県下のスーパーでは普通に売られています。美祢での通常価格は490円くらいからです。広告の品になるともう少しお安くなるので、お刺身の好きな私の奥さんも、他は節約してこれを良くお買い上げになります。

南風泊市場・ふぐのイケス.jpg

そういう食生活を常日頃より送っているので、訳あって気の利いた料理屋で、一番いいやつ(天然トラふぐ)を食べようとするとえらく高いので驚きます。たいていお一人様でも1万円札がさようならです。店によっては2枚以上必要です。下関でふぐ料理といえば、日清講和条約締結の舞台となった「春帆楼」が有名です。この格式ある料亭旅館で、ふぐを食した伊藤博文公があまりの美味しさに納得して、それまで本来ご禁制であった「ふぐ」を、正式に解禁させたという逸話があります。ただし毒があるので、誰でも料理して良いという訳にはいきません。それで免許制にして、その公許第一号が春帆楼に与えられたそうです。ですから、本場下関でふぐ料理を頂くならば、「春帆楼なら間違い無しでしょう」とご案内しておきます。(行ったことないけど、天皇陛下もご利用になるそうですからすごい所ですね)まあ、そういうのは財力のある方に任せておけば良いわけです。庶民は庶民でスーパーの店頭に並ぶやつで、お手軽にふぐ刺しを楽しませて頂けるのですから。県内や北九州地方を離れると、このお手軽コースは商品が出回らないので不可能です。(加工基地が山口にしかないので)だから地元山口居住で食いしん坊の人は本当に恵まれています。それが当たり前の生活をしているとありがたさが解らなくなりそうですが、これなぞみごとな「小欲知足」かもしれませんね。

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