こだわり住職のよもやま話

こだわり住職の懺悔(前編)

2010年01月21日

先日の記事『1/11・秘密のあこちゃんの話し』を読んだご当人から、メールが届きました。それが思わず笑っちゃうのですが、「吉村さんの愛を感じるわぁー。へこむことも多々ありますが頑張ります...」なんていうメッセージでした。絵文字が沢山入ってる女子高生のメールみたいで、彼女らしいお言葉でした。さて、あこちゃんのことを肴にして記事を書いたので、今回は自分の秘密を白状して懺悔することにします。実は私、長年磯釣りをやっています。だから今はみごとな殺生坊主です。でも最近はめったにやってません。人目が少々気になりますしね。例によって話は長くなりそうですが、私の懺悔(言い訳)を聞いてやって下さい。

私の住む旧美祢市はわずか1万8千人程度の過疎の街ですが、磯釣り人口は異常に比率が高いところです。かっては日本一の無煙炭(石炭)産地として栄えたこともありますが、今は見る影もありません。旧美祢市(現在は秋芳町・美東町と合併し、現美祢市は人口3万です)を南北に縦断する国道316号は、都市部ではまず考えられない平均速度で北上できるので(現実を詳しく書くといろいろ問題があるので想像して下さい)中心部から一時間もかからずに、北長門国定公園に指定されている美しい海へ余裕でたどり着けます。山陰側は荒々しい磯場が沢山あり磯釣りのメッカです。そういう立地条件なので磯釣り人口比が高いのです。美祢の人間(おじさん連中)の遊びというと、この磯釣りかゴルフ(市内はもとより周辺にはゴルフ場が異常に密集しています)そしてパチンコが定番です。お隣旧山陽町のオートレースあるいは下関市の競艇にも根強い支持があり、番外で飲み屋通い(遊びとはいえないか?)というところでしょうか。要するにあまり気の利いた遊び(?)はありません。カラオケボックスもボーリング場もゲーセンもありませんので、若い人たちにはなんとも退屈な街です。あるのは緑と美味しい空気と広大な石灰山。旧秋芳町と旧美東町に広がる日本一のカルスト台地とその地下に広がる巨大な鍾乳洞。そして田舎ながらの純朴で暖かい人々の心です。(実は驚くことに市内中心部に24時間営業のファミレスが1店ある。若者が集まる貴重なスポットになっている)そういう街であるので、私の嗜好にマッチした大人になっても続けられる遊びは、長年磯釣りに落ち着いているのです。

本州最西北端・川尻岬.jpg

遊びといえば、子供の頃を振り返ると歳のあまり離れていなかった叔父達に、ずいぶんいろんな遊びを教えてもらいました。めんこやコマにビー玉などはもちろん、竹を切って鉄砲とか弓矢も作ったし冬は竹ソリやスキーを作って遊んだものです。ニッケの根を一生懸命掘り、夏はトマトをかじりながら川へ泳ぎに行き、うなぎカゴを仕掛けて蒲焼の材料を調達をするのが遊びだった。ビワ・柿・山モモ・野イチゴ・くるみ・くわの実・グミ・アケビなどと、およそタダで食べられるものはなんでもおやつだった。叔父たちについて行って野鳥をとる罠を仕掛けて焼き鳥の材料を調達したり、竹の子掘りや山芋掘りも遊びだった。近所のイチジクは自分たちのものだと思っていたし、堅くてまずい野生のナシも、けっこう気に入って食べていた。それらもすべて遊びだった。しかし叔父たちに教えてもらった遊びの中で、一番のお気に入りだったのは川での魚釣りでした。食べるわけでもないのに、まさに意味のない殺生をしていたわけです。(一部食べることもあった、うなぎなど)少年(私)にとっては、釣りはとても魅力的な遊びでした。魚が針にかかった時のあの強い引きや、釣り上げたときのバタバタ暴れる姿、いわば生命の躍動感が少年を興奮させ魅了したのです。まして大物を釣り上げたときの達成感はひとしおです。しかしその少年も成長とともに釣りは卒業します。さすがに意味のない殺生に矛盾を感じ始め、純粋なわくわく感や本能(狩猟本能でしょうか?)を満たすだけの遊びより、もっと複雑なことや頭の中で考える楽しさ、そして格好いいと思われる遊びに興味は移って行ったのです。

誰でも子供の頃に生き物に対する興味が高まり、昆虫や金魚などをカゴや水槽に入れて四六時中眺めていた記憶があるはずです。それはきっと生命の不思議、生命の輝きに純粋に惹かれていたからです。しかし手に入れた虫や魚たちは大抵すぐに死んでしまいます。それを繰り返し結局多くの殺生をすることで、ようやく生命というものの大切さや重さを肌で感じとり少年時代を卒業します。だからその殺生は少年が成長するための「糧」になったのです。意味のない死でありません。誤解を恐れずにあえ申し上げれば無駄な殺生ではなかったのです。最近の子供達は自然の中で遊び生命の重さや大切さを学ぶ機会がありませんね。これも時代の流れですから仕方ないのかもしれませんが残念なことです。

さて、話が少々違う方向に展開してしまいました。そうです「今おまえがやってる殺生はどうなんだ?」とのお言葉に、私は懺悔をしなければなりません。言い訳ですね。長くなりそうなのでとりあえずここまでを前編として、続きは次回とさせて下さい。きちんと懺悔させてもらいますので。(本当はどうやって言い訳するか、少々考える時間が必要なのである。)

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