こだわり住職のよもやま話

山寺は野生の王国です

2011年11月02日

イノシシが掘り返した芝生.jpg

昨年もそうでしたが、今年は一段と派手でした。わずか一晩で、本堂前の芝生を手始めに、あちらこちらに畑が出現しました。近年すっかりおなじみになったイノシシ達のご乱行です。彼らは日が暮れると背後の草場山から降りてきて、ごらんの通りのやりたい放題です。別に飼っているわけじゃないのですが、どうやら山寺の境内がすこぶるお気に入りのようです。今年は秋の実りが超不作でした。地元のブランド品である厚保クリも、過去に例が無いほど収穫量が落ち込みました。おそらく、その影響を相当受けると思われる彼らにとって、エサ不足は深刻です。それで、夜な夜なミミズや昆虫を求めて境内のあらゆるところを片っ端から掘り返すのでしょう。エサを置いとけば被害を防げるかかもしれません。でも、そんなことをしたらほとんどペットになってしまいますし、たぶん事態はますます悪化するでしょう。ずっと見張っているわけにもゆきませんから困ったことです。

まったくもって迷惑な連中ですが、もともと山寺は野生の王国ですから、この状態も致し方ありません。本堂の屋根裏には昔からコウモリが住んでいて、お供えの果物や生花(菊の花びらが好物)が度々被害に遭います。イタチ科のテンが、天井裏でごそごそ音を立てることもしょっちゅうですし、境内の石垣にある隙間にはヘビが沢山住み着いています(アオダイショウです)。今春には近年すっかりめずらしくなったキツネ(子キツネ、しかも複数)の姿も見かけました。タヌキは毎度おなじみですし、シカやサルも最近はよく出没します。野生動物をこれほど間近で観察できるのですから、ここは寺というよりも、ほとんど動物園に近いかもしれませんね。

▲PAGETOP