こだわり住職のよもやま話

2021年

2年ぶりのお説教を実施しました(十夜会)

2021年11月12日

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11月9日に山寺の十夜会が開催されました。例年通り本堂前の大イチョウが見事に色づくタイミングでの開催です。昨年はお説教もお斎も中止でした。一応読経はしましたが、ほんの言い訳程度の法要でした。今年はついにお説教が復活しました。コロナ渦もようやく落ち着いてきたようです。長いトンネルの出口が少し見えて来たようで早く元に戻れることを祈るばかりです。

今年のお説教は福岡県みやこ町 果願寺の上村隆法師にお願いしました。上村師は西部布教師会の会長です。布教師資格を有する僧呂(一応私もそうです)が所属する組織において、西国のトップであります。その会長に図々しくも「山口の田舎に来てもらえないでしょうか」とお願いしたところ、快く引き受けて頂けました。言ってみるもんですね。

庫裏の和室で家族や子供の話しになった際に、思いがけない発見がありました。もうずいぶん昔のことになりますが、私が教師資格(住職資格)に必要な単位取得の為に本山で何度も講習を受けていた頃のことです。その講習会は受講者が必ずしも毎回同じではありません。それで「たしか上村さんという若い人がおられた回があったはずだが・・・もしかして」と、たよりない記憶でそのことを尋ねてみると、やはりそうでした。彼の親父さんでした。これもご縁であります。

今回はしっかり録音が出来ました。後ほどじっくり聴かせてきただきます。誠に有り難うございました。

果願寺 上村隆法師
果願寺 上村隆法師

 

コロナがもたらした急激な変化(お葬式と法事)

2021年05月12日

コロナ対応

お葬式の形は時代と共に変って来ましたが、とりわけコロナ騒動による昨今の急激な変化には隔世の感があります。今や葬儀は”小さなお葬式”が普通になりました。いわゆる家族葬や親族葬がスタンダードです。今現在、火葬場には来場制限(近隣は大抵10名まで)があるので、たとえ小さなお葬式でも火葬場への同行者数には留意が必要です。ちょっと前まで20人程度は普通でした。場合によっては30人だとかの関係者が火葬場に同行することもありました。だから大抵マイクロバスが用意されていましたが、そんなことはもう昔の話しになってしまいました。火葬が終われば会館に戻って繰り上げ初七日を行い、その後に会食が一般的でした。しかし今は仕出し弁当の配布で解散や、そもそも会食自体を取りやめることが多くなり、親族等がお葬式で過ごす時間は確実に短くなりました。田舎のお葬式もすっかり様変わりです。コロナが終息しても元に戻ることはもう無いのかもしれません。

一方、山寺では本堂で行うケースが多くなったので、それに関わる私自身の時間はむしろ長くなりました。これまでのように会館葬でしたら、私は会場へ出向いて儀式を執行すれば良いだけです。会館の従業員さんは気遣って下さるし、お茶も出して頂けます。僧侶もいわばお客さんです。しかし本堂でやろうとするとそうは行きません。会館に準じた対応が(宿泊は出来ませんが)求められます。お亡くなりになった後に一度自宅へ帰られる時は良いのですが、そのまま寺に来ていただく場合は(このケースが増えてきています)時間的な余裕が無いのでとても慌てることになります。寝台車が到着し枕経が終われば葬儀屋さんに納棺して頂きますが、その後の通夜・葬儀・初七日の会場準備は基本的に寺(私)が行います。(葬儀屋さんには本堂の勝手がわからないですからね)よって葬儀屋さんが準備するのは白木位牌・骨つぼ・写真・霊柩車・生花・司会の有無の確認・必要ならば受付用事務用具と会葬御礼・まれに屋外テントの設置くらいになります。これ以外で式に必要なものは寺の備品で対応します。もちろんコロナ前からその傾向はありましたが、山寺では今やこのやり方が普通になって来ました。

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葬儀以外の法要も本堂開催が普通になりました。位牌を持参してとにかく寺に来て頂けば良いのです。家でやるより遙かに楽ちんですから皆が幸せになれます。以前から満中陰忌の法要では定番でした。イス席の会場と十分な駐車場が確保出来るので実に具合がよろしいわけです。コロナ以降は年回忌法要(いわゆる普通の法事)でも積極的に寺で開催するようになりました。たとえ家族(子孫等)であっても県外から参列することがはばかられるご時世です。本堂なら広くて感染のリスクも少ないでしょうから、寺で開催するのが正解でしょう。法要後の会食も昨今のお葬式と同様です。仕出し弁当の配布あるいは飲食一切無しのケースが多くなりました。

岸田幸子儀葬儀式

さて、前置きはこれくらいにして、先日本堂で行った岸田幸子さんの葬儀に触れておきたいと思います。幸子さんの葬儀はまさにコロナの時代を象徴するようなお葬式でした。三組の息子さん夫婦と孫が参列した小さなお葬式でしたが、しかし素晴らしいお別れの時間を過ごすことが出来ました。幸子さんには枕経から葬儀当日までずっと本堂の御本尊の前で過ごして頂きました。寺なので通夜の夜に息子さんたちが泊まれないのは申し訳なく思います。でも菩提寺の阿弥陀様に見守って頂けましたから、きっとさみしくは無かったでしょう。たくさんの生花と家族に囲まれて幸子さんはお浄土へ征かれました。

お骨はしばらく寺でお預かりすることにしました。もしかしたら自宅に帰りたいかもしれませんね。でもずっと空き家でしたからね。引き続き御本尊のそばで過ごして頂くのも悪くないでしょう。コロナ過でお葬式の形はまた一段と変化しました。しかし山寺の坊さんが袈裟を掛けてやってることは昔も今も変わりません。いや、むしろこんな時代だからこそ今まで以上に濃密なお別れの時間を過ごせるようになったと思います。

岸田家葬儀

 

岸田幸子 様

お通夜の読経中に昔の映像が次々と浮かんで来て思わず声が止まってしまいました。勘弁して下さいね。それからお世話になりました。そしてありがとうございました。

合掌

 

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