こだわり住職のよもやま話

未来のために今を生きる

2018年06月05日

佐々木家の山林

先月27日に放映された「所&林修のボッンと一軒家」という番組で、山寺から車で30分位の山奥(下関市豊北町田耕)にある一軒家が紹介されました。そのお宅のすぐ手前の地区は知っていましたが、さらに奥まった所に民家があったとは、この番組を見るまで知りませんでした。その一軒家では、16年前に奥さんを亡くされ今年80歳になられる佐々木喜文さんが一人で暮らされています。佐々木さんは農業と林業で三人の娘さんを育て上げ、今も佐々木家の山林と田畑をまもっておられます。75歳の時には3,600坪という広大な休耕田に一人で1,000本の植林をされています。

番組内では佐々木さんの遠大な計画が語られていました。この広大な山林を次の世代に残すため、佐々木さんは嫁に行った娘の子(孫)と養子縁組をして、自分の死後に佐々木家の山林が円滑に相続できるようにと、しっかり手を打っておられました。佐々木さんの強い思いは「この土地の木々を、将来文化財の補修に役立ててもらいたい。そのために今できることを黙々とやる。それは自分がこの世に生まれてきた証しを残すことにもなるのだから。子孫たちにこの思いを託して自分は逝きたい。」でした。そして、「今後300年はこの山に手を付けないようにすること」と、子孫たちに伝えておられました。

東大寺の南大門が再建された時、山口県の徳地町から巨大な木材が運ばれたように、いつの日か文化財補修のために、この山林から巨木が切り出される姿を夢見ながら、佐々木さんは人生を終える準備をされていました。運良くこの番組を録画していた私は、はるか未来を見据えて今を生きる佐々木さんの姿に感動しました。私も立場上、我が山寺の50年後100年後のことを考えながら行動して来たつもりです。しかし佐々木さんの意志の強さと実行力を見せられると、まだまだ修行が足らんことを痛感させられます。未来のために生きる尊さを教えて頂きました。

 

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