こだわり住職のよもやま話

お宝を発見したようです

2016年05月14日

ことの始まりは大日祭の準備をしていた先月末でした。檀家の長田雅太さんが「古い掛け軸が出てきたんだが調べてもらえないだろうか」とやってきました。そして「住職なら出来るんじゃないかと思ってね」なんて、実に上手いこと言うんです。無下に断るわけにもいかず二つ返事で預かることになりました。その後忙しかったこともあってずっと本堂に置きっ放しでしたが、昨日少々本気で調べてみました。そしたらあらびっくり、予想外に貴重な作品である可能性が大でした。實空俊德、縁あって美祢市のお宝を新たに発見したようです。本日はそのことを書いてみます。

管 江嶺の作品

雅太さんが持ち込んだそれは、少々小汚い木箱に収まった見るからに古そうなヤツでした。平成19年2月17日に亡くなったお母さん(ヨシコさん)の遺品の一つだそうです。どういう素性なのかさっぱり解らないので調べて欲しいというのです。結論から申し上げると、写真の水墨画は地元美祢市(旧美東町)出身で、毛利藩のお抱え絵師だった管江嶺(すがこうれい)が77歳(喜寿)の時に描いたものだと思われます。江嶺は文政11年(1827年)65歳で毛利藩のお抱え絵師となり、天保7年(1836年)に藩主が亡くなると地元に戻りました。その後も各地を巡って多くの作品を残しており、嘉永5年(1852年)91歳で亡くなっています。平成20年11月に、美祢市と美東町、秋芳町が合併した記念行事として歴史民俗資料館で江嶺の展示会が開催されています。その際には、旧美祢市、旧美東町、旧秋芳町の個人が所蔵する掛け軸36点、屏風絵6点が特別展示されました。

ところで私は素人ですから、今回現物をつぶさに観察して確信を持ったわけではありません。しかし長田家に江嶺の作品が伝わっていても不思議ではありません。なぜなら亡くなったお母さんの実家は江嶺と同郷です。縁故などもあったことでしょう。それでこちらに残っていたのでしょう。こうなったら「なんでも鑑定団」にでも応募して確かめたくなるのが凡夫の性でありますが(笑ってください)、私はすでに「間違いなし」と勝手に思っています。

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