こだわり住職のよもやま話

霊供膳の準備について

2015年02月07日

多くの宗派では重要な仏事の際には霊供膳(れいくぜん)という精進のお膳を仏前にお供えします。これは昔から行われているお約束ごとの一つです。必要にせまられてこのお膳セットを購入したばかりでしたら、説明書が付いていますから問題ないのですが、紛失している場合だと「さて、どうだったっけー」となりがちです。法事の際に施主家の奥さんから「配置はこれでよかったですかね」と、尋ねられることが時々あります。よって本日は霊供膳の準備について書いてみます。

霊供膳

霊供膳のセットを開けると五種類の器が入っていますが、準備の際にはまずそれぞれの器に盛るべき料理を正しく見分けることからスタートです。これがちゃんと出来れば難しくないです。整理すると次のようになります。

①飯椀・・・一番大きいお椀です。ご飯はあえて少々山盛りにします。

②汁椀・・・飯椀より一回り小さいお椀で多少平たくなります。

③平・・・・文字どおり、かなり平たいお椀です。お煮にしめを盛ります。

④坪・・・・同じく文字どおりです。坪状のお椀で和え物や酢ものを盛ります。

⑤高坏・・・足高の坏です。香の物を盛ります。

これらをセットになっている四角のお膳台にのせて仏前に供するのですが、配置は右利きの人が食事をする際の食べやすさを考慮すれば想像がつきます。右手に箸を持つのですから、左手で持つ飯椀は左手前に配置し、その右隣には汁椀となるのが自然ですよね。おかずの平と坪はこれらの奥側になりますから、これでお膳台の四隅に器が置かれました。残る高坏はこれらの中心(お膳の真ん中)に配するのがこれまた自然です。ハイこれで終了です。意外と簡単でしょう?

なお、平と坪の左右の配置に関しては絶対のルールは無いようです。一般的には左奥が平のケースが多いのですが、左右が入れ替わっていても間違いではありません。お箸は右側が頭で一番手前に並べます。これも右利きの原則からなんでしょうね。仏前に供える際には、お膳の正面(箸を置いてる側)を仏様の方へ向けて下さい。

余談ですが高坏以外の器にはフタが付いています。フタを使用する場合は、飯椀のフタを最初に選別することがポイントです。少々不自然に感じるかもしれませんが、一番口径の小さなものを山盛りのご飯の頂上にちょこんと載せます。他のフタは器と合わせれてみれば見当がつきます。汁椀ははめ込みフタですが、平と坪のフタはかぶせフタです。

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