こだわり住職のよもやま話

いい仕事してますねー

2013年06月20日

はせがわ美術工芸の工房に入院していた宮殿と須弥壇そして大欄間が遂に帰ってきました。およそ8ケ月預けっぱなしでした。本堂建て替えの間は保管も兼ねてましたから仕方ないのですが、ずいぶん長くなりました。「きっと立派になって帰って来るんだろうね」とは思っていましたが、想像以上の仕上がりだったので驚きました。本日はその時の様子を報告します。

復原修理完了№1.jpg

トラックから最初に降ろされたのは、補修するお金が無いから預けていただけの大日如来さんの宮殿です。

復原修理完了№5.jpg

須弥壇の搬入です。強烈に重いので驚きます。復元修理に出す際に手伝って、その重さに唖然とした記憶はいまも鮮明です。

復原修理完了№6.jpg

山寺の須弥壇は宮殿を上回る300年ものですが、まだまだ問題なく使える状態でした。とても密度が高く堅い材で制作されていたんですね。

復原修理完了№4.jpg

宮殿の屋根です。全員がよってたかってそろりそろりと移動させます。

復原修理完了№3.jpg

三尊宮殿の搬入はとてもシビアです。手の置き所には細心の注意が必要です。金箔部分を不用意に触るとアウトですからね。 

復原修理完了№10.jpg

宮殿の真上に彫刻入りの虹梁が渡っているので高さがぎりぎりでした。それで先に屋根を持ち上げて宮殿本体を正面から滑り込ませるという離れ技で設置しました。いやー大変でした。

復原修理完了№11.jpg

300年前の須弥壇に240年前の三尊宮殿が乗りました。そこまで古いものだなんて、説明されなければもうわかりませんけど。

復原修理完了№2.jpg

もう一方の大物、大欄間は仮枠が取り付けられて厳重に固定してありました。移送中の損傷を防ぐ為にこうやって運ぶんですね。

右大欄間.jpg

右側の大欄間取り付けです。彩色部分に汗を落とすとシミが出来てアウトになりますから要注意です。

中央大欄間.jpg

中央大欄間の据付です。不安定な脚立に登っての作業です。見てるだけなのに緊張しました。

大欄間の設置.jpg

大欄間にはさまざまなパーツが着いていますが、わかりやすいのは、ほら貝・琵琶・琴の三点でしょう。リアルな彩色がしてありますからね。一方、少々わかりにくいのが奇妙な鳥たちです。これらはいずれも阿弥陀経に出てくる鳥で「六鳥」と呼ばれます。

右大欄間

右側の欄間に配置されている天女みたいな顔の鳥は迦陵頻伽(かりょうびんが・妙音鳥ともよぶ)です。左下の双頭の鳥は共命鳥(ぐみょうちょう)で、右下は琴です。

左大欄間

左の欄間の鳥は孔雀です。右下には舎利=百舌鳥(モズ・九官鳥という説もある)がいて、左はホラ貝です。

中央大欄間

中央の鳥は白鵠(びゃくこう・白鳥または天鵞ともいう)です。すぐ上には琵琶があります。右下の鳥は鸚鵡(オウム)です。

据えられた欄間をじっくり眺めていると見事な仕上がりに感動します。山寺にとっては英断でしたがやってよかったです。たしかに費用はかかりました。でもそれに見合うだけの仕事を、はせがわ美術工芸の職人さん達はやってくれています。中島誠之助先生の決めセリフじゃないですが、思わず「いい仕事してますねー」ってつぶやいてしまいました。

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