日本仏教の主要宗派について

Ⅲ.平安仏教

平安仏教は加持祈祷により貴族社会へ急速に浸透した国家と貴族の仏教であった。日本人によってはじめて開宗された宗派でもある。

①天台宗(伝教大師最澄)

法華経を中心に密教、禅、戒律、を統一融合し、すべての衆生は仏になれると説く。顕教(文字で明らかになった釈迦の教え)と、密教(秘密の教え)の両方を修学するのが特徴。日常勤行は朝お題目(法華経)夕念仏(浄土経)であり、いわば総合大学的な仏教である。鎌倉仏教の開祖(良忍・法然・親鸞・道元・栄西・日蓮)は、いずれも比叡山で天台を学んだ後に立教開宗することになる。天台宗はいわば日本仏教の生みの親といえる。本山は比叡山延暦寺・圓城寺等で主要七派がある。当時の比叡山は現代の東京大学にあたり、国内の秀才が一同に集まる最高学府であった。

②真言宗(弘法大師空海)

人間も本来は仏であるとする真言宗でもっとも重要な教えは、「即身成仏」の教義、すなわち大日如来と一体化して修行を行えば、この身このまま仏になることができるとする。その方法は、諸仏・諸菩薩のはたらきや功徳を象徴した印を結ぶ(身密)、大日如来の教えである真言をとなえる(口密)、大日如来に心を集中させて祈る(意密)という、「三密」を実行することだと説いている。真言宗は総合大学的な天台宗に対して、密教のみを修学する専門大学的性格であった。主要な本山は高野山金剛峯寺・長谷寺・仁和寺・醍醐寺等で主要十三派がある。

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