こだわり住職のよもやま話

お仏飯について

2009年12月08日

お仏飯

お仏壇の前に着座すると気になることの一つにお仏飯があります。足付きの小さな容器にご飯を盛って、最上段にいらっしゃる御本尊や脇侍の前にお供えする、あれですね。「おはち」とも呼びますが、毎朝炊きたてのご飯を一番にお供えするのが良いといわれています。実際お年寄りのおられる家ではきちんと実践されていることも珍しくありません。その行為は一見佛さまにお食事をさしあげているように見えますが、佛さまのお食事は香ですから、お仏飯には違う意味があります。これは、私たちが無事に命あるこの身で今日を迎え、他の命を頂くこと(食事)で生きて行くことに対する懺悔と感謝の心を示しているのです。だから我々は食事の前には合掌し「(命を)頂きます」と云うのです。

お仏飯を毎朝お供えするということは大変よいことです。ただ気になるのはお供えした後のことです。いつまでも放置していませんか?午前中に下げるのが正しいのだとかいや違うとか諸説ありますが、感心しないのは、ご飯がカリカリになるまで放置して、結局ゴミとして捨てることです。昔はお供えしたご飯は川に流すのが正しいとされていたらしいのですが、(餓鬼への供養になるという考え方...)現代ではそういう訳にも行きません。そこで、こだわり住職は朝お仏飯をお供えし、お線香をさしあげたら、すぐに下げて朝食の一部として食して下さいとご案内しています。そうすれば粗末にならず環境にも良いのではないでしょうか。

それから、通常お仏飯は最上段の佛様の直前にお供えするとされていますが、現実には狭い仏壇の中で最上段に器を運ぼうとすると、華瓶や灯明台を転倒させたりして良いことは少しもありません。最上段へ仏飯器を持ち上げる専用の器具(孫の手風の器具)を使用していたある檀家さんは、仏飯器が器具から落下してしまい、仏壇が台無しになったといいます。ですから、無理に最上段へ運ばず最下段にお供えするので良いのです。要は感謝の心をお供えし合掌することが大事なのです。なお、お仏壇にはお仏飯以外に果物や菓子などをお供えすることもよくありますが、この場合も同様です。初ものや頂きものは、まずはお仏壇に供えるという習慣を付けましょう。合掌したらすぐに下げておいしく頂くのが正しいのです。昔から日本人は「佛さまのお下がりを頂戴する」と云っておりました。現代人が忘れかけている大切な言葉ではないでしょうか。

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