こだわり住職のよもやま話

2014年9月22日

調子にのっちゃいそうでした

2014年09月22日

安部家満中陰法要.jpg

昨日は本堂で安部義伸さんの満中陰法要がありました。これまで法事といえば、自宅の(普段はほぼ使用していない)二間続きの座敷で行うのが普通でした。しかしこの山寺でも、新本堂完成以降は寺で開催するケースが多くなっています。本堂だと全員イス席でやれますから、年配者が多くなるこの手の行事にはたいへん都合が良いものです。昨今の住宅事情(そもそも自宅に親戚等が沢山集まれるスペースの確保が難しくなって来ている)も考えると、これは当然の変化であろうと思います。

本堂での開催は、膝に問題が出始めている住職にとっても都合がよくなります。すでに山寺の導師席にはイスを常設するようになっています。これなら長時間の読経でも、しんどい思い(正座)をしなくて済みます。伝統的な儀式の進行役(?)をやっている私としては、大変申し訳けなく少々後ろめたい気持ちもあるのですが、膝は治りそうにありません。「坊さんなんだからキチンと正座でやるのがまっとうでしょう。それに、正座のほうが格好いいしねー」なんて考えている煩悩まみれの私ですが、背に腹は替えられません。今後もこのやり方を続けて行くことになることでしょう。

さて、話しを安部家の満中陰法要にもどします。昨日の法事は、美祢市のお隣、山陽小野田市の江汐公園にあるホテル(ナチュラルグリーンパークホテル)でのお食事でした。結婚式等で何度か訪れたことがありますし、江汐公園は子供が小さい頃にはよく来ていた場所でした。しかし坊さんの支度でここを訪れるのは初めてです。山寺からそんなに遠くもありませんし、広大な江汐公園に隣接しているので(市営公園がまるでホテルの敷地同然です)ロケーションが実に素晴らしいホテルです。「考えて見れば、ここはけっこう穴場なんだよなー」と再認識することになりました。

こういうお仕事(?)をしていますと、団体向けのお食事処はいろいろのぞかせていただいています。ですから、坊さんはちょっとしたグルメリポーターみたいなものであります。檀家さんから法事のお食事処の相談があると「そうですね、法事のお食事でしたら〇〇と〇〇、それに〇〇もなかなか良いですよ...お魚料理重視だったら〇〇がお勧めだし、まんべんなくなら〇〇、設備が充実しているのは〇〇です。それから、あそこも悪くないですねー」なんて調子でご紹介することになります。ここもさっそく候補の一つに加えることになりますね。

ナチュラルグリーンパークホテルでは、二階の大広間でオシャレなお食事をいただきました。店によってはボリュームがありすぎて食べきれないケースがあるのですが、今回はちょうど良かったですね。おまけに昨日の私はめずらしく本物のビール(昨今はノンアルコールが当たり前ですからね)を少々頂戴したもんですから、ご親族の方と話しが大変盛り上がっちゃって、あっという間に時間は過ぎました。とりわけ話しが弾んだのは地元銀行OBのN氏とでした。さすがに支店長まで務めていただけの人物です。含蓄のある深い話しを沢山聞かせて頂きました。アルコールの影響もあったのでしょうか、私も少々雄弁になっていたようです。N氏にはずいぶん気に入られたようで、「住職は実によくやられておられるので感心しています。親族の一員として本当に感謝しております。」などと随分お褒めの言葉を頂戴したのであります。人間褒められて悪い気はしませんし、うれしいものなんですが、どっこい山寺の住職は、褒められるのは慣れてませんから恐縮します。しかし、さらにN氏の奥様にも丁重なご挨拶と感謝のお言葉を頂きますと、やがて「自分って、けっこう良いお坊さんなのかもしれない...いや、きっとそうなんだー」なんて、思わず調子にのっちゃいそうになったのであります。

いかんいかん。本当に尊敬に値する仏教者とニセモノの違いはこういう時に出るのであります。これ以上乗せられちゃうと、見事にメッキが剥がれそうでした。私にはとうていマネさえできませんが、法然上人のように己には厳しく周囲の人にはひたすら慈悲を授け続けるような、そんなお坊さんに少しでも近づきたいものです。

▲PAGETOP