こだわり住職のよもやま話

2013年7月20日

これってプチ贅沢かも?

2013年07月20日

江戸期の漆器.jpg

旧本堂を解体する際に堂内の袋戸からいろんな物が出てきました。その中に大昔の漆器が多数あったのですが、古い物は天保年間調達の墨書もありました。こういうのを目にすると一瞬お宝に思えたりしますが、これらはあくまでも実用品ですから期待してもだめでしょう。「じゃあ、お斎に使ったら?」なんてのもあるかもしれませんね。でもこの古い漆器を補修して再び使用するなんて考えるのは、よほど余裕のある寺のすることでしょう。本気で使うとなると後々の維持管理が大変ですから。保管する場所もきっちり確保しないといけません。我が山寺の現状を考えるとやっぱ処分するしかないんです。

大昔の御膳盆.jpg

しかし全て廃棄では少々忍びないので何点か残すことにはしました。それが今回の写真です。お斎の料理をのせる御膳台で足の高さが異なる二種類がありました。足が低いものは大量に残っていて、まだ未使用のものもありました。おそらくお参りのみなさんのお斎で使用していたのでしょう。これはこれで、お盆代わりに使えますから多少残しておくのもいいんじゃないでしょうか。

私の昼食.jpg

こちらは実に立派な高足の御膳台です。たぶん客人やお坊さんのお食事用でしょうね。時代劇などで目にしたことはありますが、その昔実際に使用していた本物がまだ残っていたんですね。せっかくですから自分のお昼ご飯で使ってみることにしました。本日はスーパーで調達したお弁当です。よく見たら「メタボが気になる方におすすめノンフライ弁当」とあって、お値段はズバリ398円と超リーズナブルです。シャケが無かったらおかずは豆腐ハンバーグと根菜の煮物に豆と佃煮&たくあん漬けと見事に精進弁当です。いやー実にささやかではありませんか。でもこうやって大昔の少々大袈裟な御膳台に載せてみたら、ちょっぴり豪華に見えたりするから不思議です。こういうのをプチ贅沢っていうのかもしれませんね。(笑ってください)

ありがたいことに、山寺の法要では婦人会のみなさんが交代でお斎を調理して下さいます。さすがに一品ずつ全て器に盛りつけてとはゆきませんが、近頃では口にする機会も限られる手作りの精進料理です。お参りにこられるみなさんも口々に「お斎を頂くのが一番の楽しみです」と言われます。今日でもお寺にお参りした際の食事は大きなたのしみなんですね。それにしても大量に出てきた漆器類を眺めていると、つくづく昔は大変な手間暇をかけて食事の準備をしていたんだと感心します。今以上にお斎は重要なアイテムだったんでしょう。そして、お寺にお参りするということが、ある意味とても特別で重要なことだったことが実感できます。

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